「自分は何歳からはげるのだろうか」「薄毛は何歳くらいから始まるのが一般的なのだろうか」といった疑問は、特に男性にとって大きな関心事の一つでしょう。薄毛、特に男性型脱毛症（AGA）が始まる年齢には、非常に大きな個人差がありますが、一般的に言われている平均的な傾向や、その背景にある要因について解説します。AGAは、思春期以降であれば何歳からでも発症する可能性があります。早い人では10代後半や20代前半といった比較的若い年齢で薄毛の兆候が現れ始める、いわゆる「若年性脱毛症」のケースも見られます。しかし、より多くの人が薄毛を自覚し始めるのは、20代後半から30代にかけてと言われています。そして、年齢を重ねるにつれて、薄毛の悩みを持つ人の割合は増加していく傾向にあります。例えば、日本人男性の場合、20代で約10％、30代で約20％、40代で約30％、50代以降では40％以上の人がAGAを発症しているというデータもあります。これはあくまで平均的な数値であり、全ての人に当てはまるわけではありません。薄毛が始まる年齢や進行のスピードには、遺伝的要因が大きく関与していると考えられています。両親や祖父母に薄毛の人がいる場合、自分も薄毛になりやすい傾向があると言われています。また、男性ホルモンの影響も無視できません。AGAは、男性ホルモンの一種であるジヒドロテストステロン（DHT）が毛乳頭細胞に作用することで引き起こされますが、このDHTに対する感受性の高さも遺伝によって左右されます。生活習慣も、薄毛が始まる年齢に影響を与える可能性があります。不規則な生活、偏った食事、睡眠不足、過度なストレスなどは、頭皮環境を悪化させたり、ホルモンバランスを乱したりして、薄毛を助長する要因となり得ます。つまり、「何歳からはげるか」という問いに対する明確な答えはなく、遺伝的素因と環境的要因が複雑に絡み合って、個々人で異なるとしか言えません。大切なのは、年齢に関わらず、自分の髪の状態に変化を感じたら、早めに専門医に相談することを検討することです。