「女性の薄毛を確実に治す方法」を求める声は後を絶ちませんが、その前に立ち止まって考えるべきことがあります。それは、ご自身の薄毛の原因を正確に把握することです。なぜなら、原因が異なれば、効果的なアプローチも全く変わってくるからです。原因を特定しないまま、手当たり次第に様々なケアを試しても、時間とお金を浪費するだけで、期待するような結果は得られないかもしれません。女性の薄毛の原因は、男性とは異なる特徴があり、非常に多様です。代表的なものとしては、加齢によるホルモンバランスの変化、特に女性ホルモン(エストロゲン)の減少が挙げられます。エストロゲンは髪の成長を促し、ハリやコシを保つ働きがあるため、その減少は髪の質の低下や抜け毛の増加に繋がります。また、びまん性脱毛症と呼ばれる、頭部全体の髪が均等に薄くなるタイプの脱毛症も女性に多く見られます。これは、特定の原因というよりは、加齢、ストレス、過度なダイエットによる栄養不足、睡眠不足、誤ったヘアケアなど、複数の要因が複合的に絡み合って発症すると考えられています。甲状腺機能の異常や貧血といった内科的な疾患が、薄毛を引き起こすこともあります。この場合は、まず原疾患の治療が最優先となります。さらに、出産後のホルモンバランスの急激な変化による「分娩後脱毛症」や、牽引性脱毛症(髪を強く引っ張るヘアスタイルが原因)なども女性特有の原因と言えるでしょう。これらの原因を特定するためには、専門医による詳細な問診、視診、触診が不可欠です。必要に応じて、血液検査でホルモン値や鉄分、亜鉛などの栄養状態、甲状腺機能などを調べることもあります。マイクロスコープで頭皮の状態や毛髪の太さを確認することも有効です。原因が特定できれば、それに応じた適切な治療法や生活習慣の改善策が見えてきます。「確実に治す」というゴールを目指す前に、まずはご自身の薄毛の根本原因と向き合うこと。それが、改善への最も確実な第一歩となるのです。
— AGA —
女性薄毛の原因究明が改善への第一歩
2022年8月25日