「白髪染めを続けるとはげる」という噂は、多くの人が一度は耳にしたことがある、根深い不安の言葉ではないでしょうか。結論から言えば、白髪染めの薬剤そのものが、直接的に毛根を破壊し、髪を生えなくさせるわけではありません。しかし、この噂が完全に間違いかというと、そうとも言い切れないのが実情です。つまり、「白髪染め自体が脱毛症を引き起こすわけではないが、そのやり方や製品選びによっては、薄毛や抜け毛のリスクを著しく高める可能性がある」というのが、この問題の真相に近い答えです。では、なぜ白髪染めが薄毛のリスクに繋がり得るのでしょうか。主な原因は三つ考えられます。一つ目は、「薬剤による頭皮へのダメージ」です。一般的な白髪染め(アルカリカラー)は、髪のキューティクルを開くためのアルカリ剤と、髪を脱色し染料を発色させるための過酸化水素水を含んでいます。これらの化学物質は、髪だけでなく頭皮にとっても強い刺激となり、バリア機能を低下させ、乾燥や炎症を引き起こすことがあります。頭皮という土壌が荒れてしまえば、健康な髪が育ちにくくなるのは当然のことです。二つ目は、「アレルギー反応による頭皮トラブル」です。特に、染料に含まれるパラフェニレンジアミン(PPD)などのジアミン系の成分は、アレルギー性接触皮膚炎の原因となりやすい物質です。最初は少しのかゆみでも、繰り返し使用するうちに症状が悪化し、激しいかゆみや腫れ、フケなどを伴う皮膚炎に発展することがあります。このような頭皮の炎症状態が続けば、正常なヘアサイクルが乱れ、抜け毛の増加に繋がります。そして三つ目は、「物理的なダメージ」です。染める際に髪や頭皮を強くこすったり、薬剤を洗い流す際に爪を立ててゴシゴシ洗ったりすることも、頭皮や毛根に負担をかけ、抜け毛の一因となり得ます。このように、白髪染めは薄毛の直接原因ではありませんが、そのプロセスには数々のリスクが潜んでいるのです。
白髪染めではげるは本当?その噂の真相