知っておきたい薄毛対策

2025年8月
  • 美容師が激白!サロンカラーがはげにくい理由

    知識

    今回は、キャリア20年のベテラン美容師、MASAさんにお話を伺います。MASAさん、お客様から「白髪染めではげますか?」と聞かれることはありますか?MASAさん「ええ、もう本当によく聞かれます(笑)。その度に私は、『やり方次第です。だからこそ、私たちプロがいるんですよ』とお答えしています」。市販のカラー剤とサロンのカラー剤、一番の違いは何でしょうか?MASAさん「大きく違うのは『薬剤のパワーコントロール』です。市販品は、どんな髪質の人でも一応染まるように、薬剤のパワーが強めに設定されていることがほとんどです。一方、サロンでは、お客様一人ひとりの髪質やダメージレベル、白髪の量を見極めて、数種類の薬剤をミリグラム単位で調合し、必要最小限のパワーで染めていきます。特に、すでに染まっている毛先には、ダメージの少ない低アルカリの薬剤を使うなど、塗り分けを行うのが基本です。このオーダーメイドの薬剤選定が、ダメージを最小限に抑えるための最初の大きな違いですね」。技術的な面では、どのような工夫があるのでしょうか?MASAさん「私たちが最も気を使っているのが、『頭皮に薬剤をつけない』ということです。特に、地肌が敏感な方には『ゼロテク』という技術を用います。これは、コームを使って、頭皮から0mm、つまり髪の根元ギリギリから薬剤を塗布するテクニックです。頭皮に薬剤が直接触れないので、刺激やアレルギーのリスクを大幅に減らすことができます。また、染める前には必ず頭皮用の保護オイルやスプレーで、地肌を薬剤からガードします。こうした地道な作業の積み重ねが、お客様の5年後、10年後の髪を守ることに繋がると信じています」。セルフカラー派の方に、何かアドバイスはありますか?MASAさん「もし可能なら、せめて3回に1回でも美容室でメンテナンスをすることをお勧めします。プロの目で頭皮の状態をチェックしてもらい、髪のダメージをリセットするだけでも、長い目で見れば大きな違いが生まれますよ」。

  • サプリは髪と体への長期的な投資である

    AGA

    薄毛という、目に見える形で現れる悩みに直面した時、私たちはどうしても即効性を求めてしまいがちです。今日飲んだサプリが、明日の朝、すぐに結果として現れることを期待してしまう。しかし、その焦りこそが、サプリメントによる薄毛対策で最も陥りやすい罠なのです。サプリは、魔法の弾丸ではありません。それは、弱った体に栄養を与え、乱れたバランスを整え、髪が自らの力で育つための環境を、内側からゆっくりと再構築していくための、地道なパートナーです。例えるなら、痩せた土地を、時間をかけて肥沃な土壌へと変えていく作業のようなもの。今日、良い肥料を与えたからといって、明日、立派な作物が実るわけではないのです。まず、土に栄養が浸透し、微生物が活性化し、作物が根を張るための環境が整うまでに、長い時間が必要です。サプリもそれと同じで、効果を実感するまでには、最低でも3ヶ月から半年、あるいはそれ以上の期間が必要になることも珍しくありません。この「時間差」を理解できずに、「一ヶ月飲んだけど効果がない」とすぐにやめてしまうのは、種をまいた翌日に芽が出ないからと、畑を耕すのをやめてしまうのと同じくらい、もったいないことなのです。サプリメントとの付き合い方を、短期的な「消費」ではなく、長期的な「投資」と捉え直してみてはどうでしょうか。それは、単に髪のためだけでなく、自分の体全体の健康に対する投資です。爪が丈夫になった、肌の調子が良くなった、疲れにくくなった。そうした髪以外の小さな変化に目を向け、楽しむ余裕を持つこと。焦らず、腐らず、自分自身の体を信じて、日々の栄養補給という名の投資を続けること。その穏やかな継続の先にこそ、サリメントがもたらしてくれる、本当の価値と、嬉しい結果が待っているのだと、私は信じています。

  • 白髪染めを我慢し続けた母の後悔

    生活

    私の母は、昔からお洒落な人だった。白髪一本見つければ、すぐに鏡台の前に座り、慣れた手つきで白髪染めをしていた。そんな母の口癖は、「白髪があるだけで10歳は老けて見えるからね」だった。しかし、60歳を過ぎた頃からだろうか。母は、白髪染めをした後、きまって「なんだか頭がかゆい」とこぼすようになった。私が「一度、皮膚科に行ってみたら?」と勧めても、「大丈夫、いつものことだから」と、取り合ってはくれなかった。白髪がある自分を許せない母にとって、染めるのをやめるという選択肢はなかったのだ。その「いつものこと」が、悲劇に変わったのは、ある夏の日のことだった。白髪染めをした翌日、母の顔は、まるで別人のようにパンパンに腫れ上がっていた。特にまぶたの腫れはひどく、目がほとんど開かない状態。頭皮は真っ赤にただれ、黄色い汁が出ていた。慌てて駆け込んだ皮膚科で告げられた診断は、「重度のアレルギー性接触皮膚炎」。原因は、長年使い続けた白髪染めに含まれるジアミンだった。医師からは、「もう二度と、普通の白髪染めは使えません」と、厳しい言葉を宣告された。それからの母は、まるで抜け殻のようになってしまった。大好きだった友人とのランチも断り、家に引きこもりがちになった。皮膚炎の治療で抜け毛も増え、髪は見るからに薄くなった。あれほど気にしていた白髪は、根元からくっきりと伸びて、まだらに色づいた毛先とのコントラストが、痛々しさを際立たせていた。母は、鏡を見るたびに「あの時、かゆいのを我慢しなければ…」と、何度も後悔の言葉を口にした。母のケースは、私たちに重要な教訓を教えてくれる。小さな体のサインを無視し続けることの恐ろしさ。そして、「美しさ」とは、時に自分自身を傷つける刃にもなり得るということだ。